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【新着情報】

2011年12月28日(水)

韓国ナショナルトラスト法のご紹介

韓国では、90年代半ばから、乱開発に対して都市の緑を守る運動が強まりました。2000年に設立された社団法人韓国ナショナルトラストは、貴重な自然環境や文化遺産を買い取るとともに、資産を確実に保全するための立法運動を展開しました。ついに2006年3月、イギリス、オーストラリアに続き、世界3番目の韓国版ナショナルトラスト法が制定されたのです。

 特徴は、①貴重な自然文化資産は、現世代が未来の世代から預かっているものだという考え方をとったこと(2条)、②2つの国民信託法人を設立して資産を保全管理させること(3条)、③寄付者と信託法人への租税減免措置を認めたこと(15条)、④保全資産に影響を与える開発行為等について、事前相談制を導入したこと等(21条)があげられます。

 長いナショナル・トラスト運動の歴史を持つ日本は制度面では韓国に追い越されてしまいました。韓国の新制度から大いに学び、日本版ナショナルトラスト法を実現しましょう。

ナショナルトラストに関心のあるかたは、ビッグイシュー182号にも特集がありますので,こちらもぜひご覧ください。

JELF大阪では、大阪弁護士会所属の具 良鈺弁護士の協力を得て、韓国のナショナルトラスト法を翻訳しましので、ご紹介します。

一部改正2008.03.28 (法律9037号)環境部

文化遺産と自然環境資産に関する国民の信託法

 第1章総則

第1条(目的)

この法律は、文化遺産および自然環境資産に対する民間の自発的な保全・管理活動を促進するために、文化遺産国民信託及び自然環境国民信託の設立および運営等に関する事項とこれに対する国家および地方自治団体の支援に関する事項を規定することを目的とする。

 

第2条 (定義)

この法において使用する用語の定義は以下の通りである。

1. 「公共信託」とは、第3条の規定による国民信託法人が、国民・企業・団体からの寄付・贈与を受けたり、委託された財産及び会費等を活用して、保全価値のある文化遺産及び自然環境資産を取得し、これを保全・管理することにより、現世代はもちろん、将来の世代の人生の質を高めるために、民間レベルで自発的に推進する保全および管理行為をいう。

2.「 文化遺産」とは、次の各目のいずれかに該当するものをいう。

カ  「文化財保護法」第2条第1項の規定に基づく文化財

ナ カの規定に基づく文化財を保存・保護するための保護物および「文化財保護法」第2条第3項の規定に基づく保護区域

タ カの規定に基づく文化財およびナの規定に基づく保護物および保護区域に準じて保全する必要があるもの

3.「自然環境資産」とは、次の各目のいずれかに該当する地域の土地・湿地またはその地域に生息する「野生動・植物保護法」第2条第2号の規定に基づく絶滅危機野生動・植物をいう。

カ  「自然環境保全法」第12条第1項各号の規定に基づく地域

ナ  「湿地保全法」第8条第1項各号の規定に基づく地域

タ  「野生動・植物保護法」第27条第1項の規定に基づき、絶滅の危機にある野生動・植物の保護および繁殖のために特別に保全する必要がある地域および同法第33条第1項の規定に基づき野生動・植物特別保護区域に準じて保護する必要がある地域

4.「保全財産」とは、国民信託法人の財産のうち、文化遺産または自然環境資産に該当するものをいう。

5.「一般財産」とは、国民信託法人の財産中、保全財産を除外したものをいう。

 

第2章国民信託法人の設立等

 

第3条(国民信託法人の設立)

①      文化遺産を取得し、それを保全・管理するために文化遺産国民信託を、自然環境資産を取得しそれを保全・管理するために自然環境国民信託を各々設立する。

②第1項の規定による文化遺産国民信託および自然環境国民信託(以下、「国民信託法人」という) は、これを各々法人とする。

③国民信託法人は、その主な事務所の所在地に設立登記をすることによって成立する。

④国民信託法人は、定款が定めるところにしたがって、地方事務所を置くことができる。

 

第4条(定款)

①国民信託法人の定款には、次の各号の事項を記載しなければならない。

1. 目的

2. 名称

3. 主な事務所の所在地と地方事務局に関する事項

4. 設立当時の資産の種類、状態、および評価額

5. 資産管理と会計に関する事項

6. 総会および理事会に関する事項

7. 会員の種類・資格および会費に関する事項

8. 理事および監事の定数・任期およびその任免に関する事項

9. 理事の議決権行使および代表権に関する事項

10. 定款変更に関する事項

11. 公告とその方法に関する事項

12. 業務監査および会計検査に関する事項

13. 保全財産の管理に関する事項

14. 第19条の規定に基づく保全に関する保全協約の要件・内容・手続に関する事項

15. 保全財産の対象に関する細部基準

16. 文化遺産または自然環境資産の保全に貢献した者の名誉のために必要な事項

17. 国民信託法人の事務を処理するための組織の設置に関する事項

②国民信託法人は定款を変更しようとする場合は、該当中央行政機関の長(文化遺産国民信託の場合には、文化財庁長官を、自然環境国民信託の場合は、環境省副長官をいう。以下同じ。)の認可を受けなければならない。

 

第5条(基本計画)

①      国民信託法人は理事会の議決を経て、文化遺産および自然環境資産の取得、保全・管理のための長期的な計画(以下、「基本計画」という) を、10年ごとに策定しなければならない。

②基本計画には、次の事項が包含されなければならない。

1. 文化遺産および自然環境資産の取得、保全・管理のための目標・推進戦略に関する事項

2. 保全財産の基準・分類に関する事項

3. 保全財産として取得する必要がある対象物の調査および目録作成に関する事項

③国民信託法人は、基本計画を策定しようとするときは、事前に該当中央行政機関の長と協議しなければならない。

④国民信託法人は、基本計画を策定しようとするときは、当該基本計画に包含される事項が国家の国防・軍事、農地・山林や開発等に関する政策・事業と相いれるかどうかについての事前に当該中央行政機関の長と協議しなければならない。

⑤国民信託法人は、基本計画を策定する場合は、該当中央行政機関および関係中央行政機関の長にこれを送付しなければならない。

⑥第3項ないし第5項の規定は、基本計画を変更しようとする場合にこれを準用する。ただし、大統領が定める軽微な事項を変更する場合にはこのかぎりでない。

⑦その他基本計画の策定および施行に関して必要な事項は、国民信法人の定款で定める。

 

第6条(施行計画)

①      国民信託法人は、第5条の規定に基づき策定された基本計画に基づき、年度別施行計画(以下、「施行計画」という)を毎年策定しなければならない。

②施行計画の策定及び変更については、第5条第3項ないし第7項の規定を準用する。

 

第7条(保全・管理計画)

①      国民信託法人は、基本計画及び施行計画に基づき保全財産全体を構成する各文化遺産および自然環境資産について、理事会の議決を経て保全・管理計画を策定しなければならない。ただし、効率的な保全・管理のために必要であると認められる場合には、各文化遺産および自然環境資産を統合して保全・管理の計画を策定することができる。

②第1項の規定に基づく保全・管理計画の策定及び施行に関して必要な事項は、定款で定める。

 

第8条(文化遺産および自然環境資産目録作成および公告)

①      国民信託法人は大統領の定めるところに基づき、文化遺産および自然環境資産の所有者-占有者またはその代理人と協議して、保全する価値のある文化遺産および自然環境資産を毎年調査しなければならない。

②  国民信託法人は、第1項の規定に基づき、調査した結果の目録を作成して公告しなければならない。

 

第3章国民信託法人の財産など

 

第9条(財産現況の公開等)

 

①      国民信託法人は、大統領が定めるところにしたがい、保全財産の目録を作成しこれを備え置かなければならない。

②国民信託法人は、会計年度ごとに保全財産および一般財産の現況を作成し、大統領が定めるところにしたがいこれを公開しなければならない。

 

第10条(財産の保全と運用)

①      国民信託法人は保全財産および一般財産を信義に基づき誠実に保全・運用しなければならない。

②保全財産は、これを売却・交換・譲与・担保または信託しまたは出資の目的のために提供することはできず、これに違反した行為は、無効とする。

③一般財産は文化遺産および自然環境資産の買入および保全・管理と国民信託法人の運営にかかる費用等に使用することができる。

 

第11条(指定寄託財産)

①      文化遺産および自然環境資産の買入・保全または管理の用途を指定して寄託された現金・有価証券または不動産等の資産(以下、「指定寄託財産」という) は、寄託者と合意した場合を除き、その使用法を変更することはできない。ただし、寄託者の死亡等の事由により協議することができない場合にかぎり、理事会および総会の議決を経た場合は、このかぎりでない。

②指定寄託財産は、指定した目的別に他の一般財産と区別して計理しなければならない。

 

第12条(文化遺産および自然環境資産の買入)

国民信託法人は文化遺産および自然環境資産を買入れようとするときは、理事会の議決を経なければならない。

 

第13条(利用料と入場料)

国民信託法人は、保全財産を利用する人々に大統領が定めるところにしたがって利用料または入場料を賦課・徴収することができる。

 

第14条(会計など)

①      国民信託法人の会計年度は、政府の会計年度にしたがう。

②国民信託法人は、毎会計年度を終了するまでに、次の会計年度の事業計画及び予算案を、該当中央行政機関の長に提出し、承認を得なければならない。

③第2項の規定は、事業計画または予算案を変更する場合にこれを準用する。ただし、大統領が定める軽微な事項の変更を行う場合にはこのかぎりでない。

④国民信託法人は、会計年度ごとに公認会計士または会計法人の会計監査を受け、決算書を作成しなければならない。

⑤国民信託法人は、事業実績および第4項の規定に基づいて作成された決算書を会計年度終了後90日以内に、該当中央行政機関の長に提出しなければならない。

⑥国民信託法人は、第2項ないし第5項の規定に基づく予算案および決算書を公開しなければならない。

 

第15条(租税減免措置)

国または地方自治体の文化遺産および自然環境資産の保全活動を活性化するために国民信託法人に出えんまたは寄付された財産と国民信託法人に対して、租税関連法規の定めるところによる税を減免することができる。

 

第16条 (財政支援)

国および地方自治体、国民信託法人または国民信託法人および第19条の規定に基づく保全協約を締結し法人・団体に対し、予算の範囲内で保全財産の保全・管理に直接必要な経費の一部を補助することができる。

 

 

第4章国民信託法人の機関等

 

第17条(総会及び理事会)

①      国民信託法人には会員で構成される総会を置く。

②次の各号の事項は、総会の議決を得なければならない。

1. 役員の選任に関する事項

2. 予算および決算

3. 基本計画および施行計画

4. 定款変更に関する事項

5. その他定款で定める事項

③国民信託法人には理事で構成される理事会をおき、理事会は次の各号の事項を審議・決定する。

  1. 基本計画の策定
  2. 施工計画の策定
  3. 保全財産に対する保全・管理計画の策定
  4. 保全財産として取得しようとする文化遺産および自然環境資産の目録
  5. 保全財産の取得・保全および管理に関する事項
  6. 保全財産および一部財産の運用計画
  7. その他定款の定める事項

 

第18条 (準用)

国民信託法人について、この法律に規定する事項を除いては、民法の社団法人に関する規定を準用する。

 

 

第5章保全協約

 

第19条(保全条約)

①      国民信託法人は文化遺産および自然環境資産の効率的な保全・管理のために、文化遺産および自然環境資産の所有者-占有者または代理人と協約(以下、「保全協約」という) を締結し、所有者-占有者または代理人が、当該文化遺産と自然環境資産を誠実に保全・管理することができるよう必要な支援をしたり、当該文化遺産および自然環境資産を賃借し、直接保全活動を行うことがでる。

②環境協約の内容および締結方法・手続等について必要な事項は、定款で定める。

 

第20条(権利変動の通知)

国民信託法人および保全協約を締結した文化遺産および自然環境資産の所有者-占有者または代理人は、当該財産の管理関係が変動したか、または変動することが予想される場合は、その事実を遅滞なく国民信託法人に通知しなければならない。

 

第6章補則

 

第21条(行政計画等の協議)

①      関係中央行政機関の長、市・都知事および市長・群長・区長(以下、「関係行政機関の長」という)は、国民信託法の保全財産に直接的な影響をおよぼす行政計画を樹立・確定したり開発事業を許可・認可・承認・免許・決定・指定等(以下、「許可等」という)をしようとする場合は、その影響を事前に検討し、当該中央行政機関の長に協議を要請しなければならない。ただし、当該行政計画または開発事業が「環境政策基本法」第25条の2の規定にもとづく事前環境性検討対象または「環境影響評価法」第4条第1項に基づく環境影響評価対象事業である場合には、環境部長官との協議を省略することができる。< 改正2008.3.28>

②第1項本文の規定による協議は、次の各号の区分に基づく時期に行わなければならない。

1. 行政計画:当該計画の策定・確定前

2. 開発事業:当該事業の許可等を行う前

 

③関係行政機関の長が第一項本文の規定に基づき、該当中央行政機関の長に協議を要請する場合には、あらかじめ、当該行政計画や開発事業に関する国民信託法人の意見を照会した後、その結果 (開発事業の場合には、事業の施行者が国民信託法人の意見を照会した結果をいう) を添付しなければならない。

 

④関係行政機関の長は、第3項の規定に基づき総会した国民信託法人の意見を検討し、合理的と認められる場合には、これを当該行政計画や開発事業に反映するために必要な措置を取らなければならない。

⑤第1項の規定に基づく協議手続等について必要な事項は、大統領令で定める。

 

第22条 (募金)

①国民信託法人は文化遺産および自然環境資産の買入・保全・管理のために必要であると認められるときは、その該当中央行政機関の長の承認を得て募金することができる。

②国民信託法人は募金目的以外に寄付金品を使用することはできない。寄付金品の募金を中断または終了するときは、その結果を公開しなければならない。

③第1項の規定に基づき、承認を求める場合に必要な書類や手続等について必要な事項は、大統領令で定める。

 

第7章 罰則

 

第23条(過料)

①次の各号のいずれかに該当する国民信託法人に対しては、2000万ウォン以下の過料に処する。

1. 第10条第2項の規定に違反して保全財産を売却・交換・譲与・担保または信託に供したり出資の目的のために提供した場合

2. 第11条第1項の規定に違反して、指定寄託財産の用途を変更した場合

3. 第22条第2項の規定に違反して募金した寄付金品を募金目的外に使用したり、寄付金品の募金を中断または終了したときにその結果を公表しなかった場合

②第1項の規定に基づく過料は大統領令が定めるところにしたがい、該当中央行政機関の長が賦課・徴収する。

③第2項の規定に基づく過料処分に不服がある者は、その処分の告知を受けた日から30日以内に、該当中央行政機関の長に異議を申し立てることができる。

④第2項の規定に基づく過料処分を受けた者が第3項の規定に基づき、異議を申し立てたときは、該当中央行政機関の長は、管轄裁判所に遅滞なくその事実を通知するものとし、通知を受けた管轄裁判所は「非訟事件手続法」に基づく過料の裁判をする。

⑤第3項の規定に基づく期間以内に異議を申し立てず過料を納付しない場合には、国税滞納処分の例に従ってこれを徴収する。

付則第7912号、 2006.3.24

第1条 (施行日) この法律は、公布から1年を経過した日から施行する。

第2条(国民信託法人の設立のための準備行為)①中央行政機関の長は、この法律の公布後2月以内に、文化遺産および自然環境資産の保全活動を実施している関連団体の推薦を受け、各15人以内の民間委員を委嘱して文化遺産国民信託設立委員会と自然環境国民信託設立委員会(以下、「設立委員会」とする) を構成しなければならない。

②設立委員会の委員長は、委員の中から互選する。

③設立委員会は国民信託法人の定款を作成し、該当中央行政機関の趙の認可を受けなければならない。

④設立委員会は、第3項の規定による認可を受けたときは、委員の任命により国民信託法人の設立登記をしなければならない。

⑤設立委員会は、第4項の規定による公共の信託法人の設立登記を完了するには、その事務を国民信託法人の取締役会に引き継ぎ、設立委員は引継ぎが終了した後に解職されたものとみなす。

 

付則 (環境影響評価法) <제9037호,2008.3.28>

第1条 (施行日) この法律は、2009年1月1日から施行する。

第2条から第17条まで省略。

第18条(その他の法律の改正) ①~⑨まで省略

⑩文化遺産と自然環境資産に関する国民信託法の一部を次のように改正する。

第21条第1項の「環境・交通・災害に関する影響評価法」第4条第1項の規定による影響評価対象事業(環境影響評価の対象事業に限る)」を「「環境影響評価法」第4条第1項に基づく環境影響評価対象事業」とする。

⑪から22まで省略

第19条省略

(翻訳:弁護士 具 良鈺)

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